八咫烏シリーズに登場するキャラの中で、最もイケメンだという意見も多い若宮の護衛・澄尾。
見た目だけでなく、率直に自分の意見を述べる彼のキャラには惹かれるものがあります。こんなタイプの男性に出会ったら、間違いなく追いかけてしまうだろうと思うほど。
そして、澄尾が思わず惹かれてしまったのが、若宮の妻である浜木綿の筆頭女房を務める、真赭の薄（ますほ）。ますほは『烏に単は似合わない』で登場し、澄尾との関係も同作から著しく進展します。
ここでは、ますほと澄尾の関係について、詳しく解説します。
「烏は主を選ばない」と真赭の薄の関連性
初めての出会いとその背景
「烏は主を選ばない」の物語に登場する澄尾と、若宮専属のエリート軍人としての道を歩む際、真赭の薄と初めて対面します。この二人の出会いは、澄尾が勁草院に入学する際、他の新入生と共に行った挨拶が最初でした。真赭の薄は貴族出身であるのに対し、澄尾は一介の田舎者。貴族と庶民の間には大きな隔たりがありました。
仕事を通じての絆の形成
澄尾が勁草院を卒業後、若宮の個人護衛として採用されると、ますほとの関係は徐々に変わり始めます。若宮がしばしば密かに外出する際、ますほは彼の身代わりとして振舞うことが多く、そういった事情から二人は頻繁に協力する機会を持つようになりました。
澄尾の心変わり
ますほが若宮にプロポーズされた際に、彼女は自らの髪を切り落とし、それまでの自分を断ち切る決意を見せます。この大胆な行動により、澄尾のますほに対する見方が一変します。かつては高慢なお姫様としか思えなかった彼女が、髪を切ったことで新たな魅力を放ち、澄尾はますほに一目惚れしてしまうのです。
澄尾と真赭の薄の婚約話にまつわる確執
婚約話がもたらした亀裂
澄尾は真赭の薄への秘めた感情を抱えつつも、身分の違いから自身の想いに躊躇いを感じていました。そんな中、彼は雪哉を真赭の薄の婚約者として推し進めることに。しかし、この提案が真赭の薄の怒りを買い、「二度と近づかないで」という厳しい言葉を受け、二人の関係は一気に冷え込みます。
競馬場での出来事
ある日、澄尾は競馬場で雪哉が馬を駆る姿を見守る真赭の薄の姿を目撃します。彼女のその眼差しから、澄尾は彼女が雪哉に対して特別な感情を抱いているのではないかと感じ取りました。この感情が澄尾の婚約者推薦へと繋がったのですが、その提案が事態をさらに悪化させたのでした。
衝突とその後の関係
澄尾と真赭の薄はその後も意見の衝突が絶えず、特に澄尾が放った「女はすっこんでろ」という発言は、二人の間に大きな溝を作りました。この言葉により、真赭の薄はさらに彼に距離を置くようになり、彼の助言を拒否する場面が増えていきました。
最終的な和解のきっかけ
澄尾が重傷を負い、真赭の薄が献身的に彼の看病を行う中で、彼女は澄尾が発した「手を、握ってはくれますまいか…」という言葉により、彼の深い思いを初めて理解します。この瞬間が二人の関係修復のきっかけとなりました。
ますほの反撃
後に、ますほは澄尾に対して「男は引っこんでいなさい」と反撃する場面があります。このやり取りは、二人の間における緊張感を和らげ、彼らの関係に新たな展開をもたらすことになります。
澄尾の再告白とその後の展開
澄尾の回復と改めての告白
事故から回復した澄尾は、義手と義足を装着し、自力で歩けるようになるとすぐに真赭の薄を訪れます。看病のお礼を述べた後、彼は「あなたを一人の女性として好いています」と心からの告白をします。しかし、ますほは「あなたの気持ちに応えることはできません」と率直に返答しました。
澄尾の対応とますほの反応
澄尾はますほの拒絶に対して、「ああ、かまわねえよ」と軽く言い残して立ち去ります。この一言はますほにとっては茶屋で菓子が切れた時のような取るに足らない反応と映り、彼女はそれに憤りを感じます。
再会と真意の明かし
後日、山内衆の詰所で再び顔を合わせた二人は、澄尾から改めて全てを話す機会を持ちます。「かまわねえよ」という言葉の真意が明らかになり、それは彼が自分の感情に正直になり、向き合う決意の表れだったことがわかりました。
澄尾の野望とますほの認識
別れ際、ますほが以前澄尾のやぶさめを見たいと言ったことを受けて、澄尾は「いつか見せてやるよ」と気軽に約束します。この時の澄尾の前向きな態度と努力が、ますほに彼の新たな一面を認識させ、「あなた、存外いい男だったのね」と感じさせました。
二人の未来
その後の具体的な恋愛関係の描写はないものの、澄尾が約束通りやぶさめを披露した可能性が高いです。続編の『追憶の烏』と『望月の烏』では、ますほと澄尾の子供たちが登場し、彼らがどのように成長したかが描かれています。これにより、二人が結婚し、幸せな家庭を築いたことがうかがえます。
ますほと澄尾の関係が描かれる漫画と小説
漫画におけるますほと澄尾のエピソード
八咫烏シリーズの漫画には『烏に単は似合わない』と『烏は主を選ばない』の2作があります。真赭の薄は『烏に単は似合わない』で描かれており、彼女の華やかさが際立っています。一方、澄尾は『烏は主を選ばない』で活躍し、その頼もしい姿が描かれていますが、二人の直接的なやり取りは今後の展開を待たなければなりません。
小説での詳細な描写
小説版では、ますほと澄尾の関係がより深く掘り下げられています。特に短編集『烏百花 蛍の章』では、澄尾の告白シーンやますほが雪哉との婚約話に反応するエピソードが描かれており、二人の感情が生々しく表現されています。『弥栄の烏』では、二人の印象的な会話が楽しめ、彼らの関係性がクライマックスに達します。
関連作品でのますほと澄尾
ますほと澄尾の子供たちが登場する『追憶の烏』と『望月の烏』では、二人の親としての側面や彼らの子供たちの活躍が描かれています。特に『望月の烏』では澄尾と真赭の薄の成熟した姿が描かれ、ファンには見逃せない内容となっています。
まとめ感想
烏の選択とは何か
『八咫烏シリーズ』では、「烏の選択」が重要なテーマとして描かれています。この選択は、登場人物たちが直面する道徳的、個人的な決断を指し、彼らの運命や周囲に大きな影響を与えます。権力、忠誠心、愛情といったテーマがキャラクターたちの決断を通じて深く掘り下げられ、複雑な人間関係や悲喜劇を生み出します。
澄尾と真赭の薄の関係の進展
澄尾と真赭の薄の間の関係は、シリーズを通じて大きく成長し、変化します。当初は一方的なものであった澄尾の感情が、時間と共に真赭の薄にも受け入れられるようになります。特に、澄尾が真赭の薄の看病を通じて展開される物語は、二人の関係に新たな信頼と理解をもたらし、感情的な結びつきを強化します。
シリーズ全体の魅力と影響
『八咫烏シリーズ』は、その豊かな背景と複雑なキャラクター造形、感動的なストーリーテリングで多くの読者に愛されています。登場人物たちの心理描写や対人関係の深さは、ファンタジーや冒険物語を超えた魅力を持っており、愛と犠牲、成長と受容のテーマが巧みに描かれています。また、キャラクターたちの道徳的ジレンマや選択は、読者に深い共感を促し、シリーズの持つリアリズムと深さをさらに強調しています。
