『魔法使いの嫁』に登場する魔法の呪文について詳しく見ていきたいと思います。
この作品は魔法が重要な要素となっていますが、他の魔法ものと比べて、使用される呪文の数は比較的少ないです。
それでも、紹介しきれないほど多彩な呪文が登場します。
では、どのような場面で魔法が使われ、どんな呪文が詠唱されるのか、詳細にわたって掘り下げてみましょう。
魔法使いの嫁における呪文・詠唱一覧
エアリスの呪文
影にイラクサヒイラギの輪十重に二重に蜘蛛の…
影にイラクサヒイラギの輪 十重に二重に 蜘蛛の巣糸をかの枝に紡げ (エリアス)
『魔法使いの嫁』でエリアスがチセを闇オークションから自宅へ連れ帰る際に使った最初の呪文は、特別な場面で使われました。
エアリスが「さすがだな、ひとっ飛びだ」と述べたのは、チセが特別な存在であることを暗示しています。
この呪文は、チセの強大な魔力を活かし、彼らが瞬時に目的地に到着するのに寄与しました。
影にイラクサヒイラギの輪 風に踊れその身を揺らせ…
影にイラクサヒイラギの輪 風に踊れその身を揺らせ おまえに触れる強欲な手を おまえの枝葉で刺し刻め（エリアス）
第39話では、チセが竜の呪いに苦しむ中、エリアスは禁断の知識と引き換えに魔法を披露します。
この魔法は、紙を切り裂くような美しい軌跡を描きます。
トーリーはこの魔法の美しさに感動し、「魔法は歌のようなもの」と評します。
エリアスの呪文は彼の別名「影の茨ソーン」が反映されたものであり、彼の神秘的な素性が色濃く出ています。
チセの呪文
あのヒトのところへ 繋いで
第18話で、チセはネヴィンの樹から杖を受け取った後、エリアスのもとへの帰路につきます。
その際、彼女は妖精たちの助けを借りて、まるで火の鳥のように飛び立ちます。
この方法はチセ自身にとっても予想外で、リンデルやエリアスを含む周囲もその力に驚かされました。チセの魔法の旅路は、彼女が妖精たちから非常に愛されていることを示しています。
おまえは善き錠 古い錠 わたしは おまえの善き油…
おまえは善き錠 古い錠 わたしは おまえの善き油 わたしはおまえの金の鍵！（チセとルツ）
第21話「Look breed love」での出来事です。ジョエルの家の古い鍵を開ける際に、リャナンシーがジョエルの異常を感じ取った後、チセが使用した呪文です。
この力強い呪文は「おまえは善き錠、古い錠、わたしはおまえの金の鍵！」と唱えられ、どんな錠も瞬時に開ける力を持っています。
笑いを交えつつも、「わたしはおまえの金の鍵！」というフレーズは、錠が自ら開くかのような印象を与えます。
また、学院編での魔法パズル解決にも使われたこの呪文は、手順を飛ばすために時として罠を発動させ、チセの髪を黒く変えてしまうことがありました。
飛んで
第31話「Forgive and forget」では、エリアスがステラに嫉妬し、チセを自らの体内に取り込んでしまった事件が描かれています。
この際、隔絶されたエリアスの内部に閉じ込められたチセは、外部との連絡が絶たれた危険な状況に置かれました。しかし、不思議な手が現れ、杖をチセに渡すことで彼女は状況を打開します。
杖を手にしたチセは火の鳥の呪文を使い、遠く離れたルツに自身の位置を知らせ、無事救出されました。
この出来事の後、チセは救いの手が誰のものだったのかを思案し続けていますが、その謎は今も未解決のままです。
響け響け夜の守歌 うたえうたえ…
響け響け夜の守歌 うたえうたえサンザシの子 忍ぶ蹄をお前の茨が刺すように (チセ)
第7話「Talk of the devil, and he is sure to appear」では、チセが魔法の練習に励んでいた場面が描かれます。彼女は「マンドレイクの花弁が1枚」と言いつつ、液体が入ったビーカーにそれを浮かべながら呪文を唱えます。
このシーンでチセは、隣人の妖精を媒介にして、守りの呪文を練習していました。
この呪文は、実際には不眠対策として依頼されたおばあさんに向けて作られた薬で、間違えて強力な眠り薬となってしまったのでした。
いざや結べ銀の緒を いざや繋げ血潮の根…
いざや結べ銀の緒を いざや繋げ血潮の根 離れぬようにヒイラギを ほどけぬようにキヅタを 七つのイチイに七度結べ 果ての蛇が尾を吐く日まで (チセ＆ルツ)
第8話「Let sleeping dogs lie」では、チセとルツが初めて出会う重要なエピソードが展開されます。
物語はイザベルとユリシィを中心に進み、多くのキャラクターが登場します。この中で、カルタフィルスとの激しい戦闘が描かれ、最終的にカルタフィルスが撤退します。その過程で、かつてブラックドッグだったルツは、ウィル・オー・ウィスプの助言を受けて自己の存在を見つめ直し、「ブラック・ドック」としての覚醒を遂げます。
これを機に、チセとの間で「結び」の契約が結ばれ、彼は彼女の使い魔として共生する道を選びます。この瞬間に交わされた呪文は、彼らの絆を象徴する重要なものとなりました。
子らよ 飛べぬなら 地を這え…
子らよ 飛べぬなら 地を這え 呪うべき怒りに 焼かれるはらからよ 底を往け（チセ）
第82話「Man’s extremity is God’s opportunity」では、チセがフィロメラをサージェント家まで追うシーンが描かれます。追跡のためにチセは「子らよ 飛べぬなら 地を這え 呪うべき怒りに 焼かれるはらからよ 底を往け」という呪文を唱え、竜に変身しました。この変身は、チセ自身の意思というよりは、彼女内部に宿る竜の力が働いた結果です。呪文を唱えたことで赤い竜となり、地脈を辿って目的地へと急ぎました。竜の呪いを持つチセにとって、竜への変身は非常に重要な行為であり、大きなリスクも伴います。
リンデルの呪文一覧
導くものよ 霧の向こうの我が縁者の元へ…
導くものよ 霧の向こうの我が縁者の元へ 連れてゆき給う（リンデル）
第16話「Once bitten, twice shy」にて、リンデルが若き日のエリアスを師のラハブのもとへ導くために使用した呪文です。
「導くものよ 霧の向こうの我が縁者の元へ 連れてゆき給う」というこの呪文は、常に変わるラハブの居所を見つけるために必要でした。
ラハブが住む場所や時代が頻繁に変わるため、リンデルはこの魔法を使って彼との再会を果たすのです。
森のベールよ その裾を我らに開け
同じく第16話で、リンデルとエリアスは食料が尽きかけ、人里に向かいます。
しかし、エリアスの姿を見て人々が恐れるため、彼はリンデルの影に隠れます。
「森のベールよ その裾を我らに開け」という呪文は、リンデルが村人たちと交流する中での保護と隠蔽を助けるために使われました。また、この呪文は緊急時にも役立ち、彼らが村人の怒りから逃れる際にも活用されました。
イルナ エテルロ／白花の歌エコーズ
第17話「Lovers ever run before the clock」では、リンデルが「百花の歌エコーズ」としての彼の能力を示します。彼の呪文は通常の言葉ではなく、歌として表現されることが多いです。
アニメ版では、これらの歌が竹中大地さんによって美しく歌われており、視聴者に深い印象を与えています。ただし、歌詞が独特の造語で構成されているため、その意味するところは直接的には解釈しにくいものの、その神秘的なメロディーはリンデルの魔法の一部として、彼の物語性を豊かにしています。
そのほかキャラの呪文一覧
馬と帽子／ホースアンドハトック（ウィル・オー・ウィスプ）
第12話「Let sleeping dogs lie.」では、カルタフィルスからチセたちを守るためにウィル・オー・ウィスプが使用した呪文が登場します。この妖精は、通常森や墓地に現れる青い鬼火として知られ、その不思議な力で人々を惑わします。妖精の領域内ではその力が増すため、ウィル・オー・ウィスプはカルタフィルスをうまく退けることができました。エリアスも自宅でウィル・オー・ウィスプの力を尊重しており、「銀の君に逆らうと面倒」と評しています。
光り輝く地の雌神 蛇裂きし嵐の雄神…（マリエル）
光り輝く地の雌神 蛇裂きし嵐の雄神 その御手を その玉の眼を またたきの間お貸し下さい（マリエル）
第37話「You can't make an omelet without breaking a few eggs. II」でチセが受けた竜の呪いを調査するため、マリエルが使った祈りのような呪文です。
彼女の血筋は古代の神殿娼婦にまで遡り、その繋がりから神々の力を借りやすいとされます。
この強力で複雑な呪いに対抗するために、マリエルは神々の力を求めるこの呪文を使用しましたが、彼女自身も呪いの厳しさには驚きを隠せませんでした。
硝子の鏡 荒野の魚影 霧より出でて蜘蛛を射ろ…（リアン）
硝子の鏡 荒野の魚影 霧より出でて蜘蛛を射ろ 先に在りて 過去を夢見る 地獄の狩人よ（リアン）
第80話「Coming events cast their shadows before. II」で、リアンがフィロメラとの戦いに使用した呪文です。
彼は『七つの盾』の名家、スクリム＝ジョー家の嫡男として、どんな敵にも臆することなく立ち向かいます。
この呪文は、フィロメラが化け物と化した事態に対処するために唱えられ、彼の過去の経験と戦闘スキルが試される場面でした。跳ね返されたものの、その敏捷性と勇気は他の学院生とは一線を画しています。
