逃げ上手の若君に登場する護良親王は、後醍醐天皇の息子で、文武両道に秀でた頼りがいのある皇子でした。しかし、後醍醐天皇は息子の護良親王よりも足利尊氏を信頼し、結果として護良親王は簡単に捕らえられ幽閉されてしまいます。
護良親王の幽閉は最後まで解除されることなく、彼は幽閉中に亡くなりました。
護良親王がなぜ殺されたのか、そしてその最期のシーンについても詳しく解説します。
逃げ上手の若君：護良親王死亡までの悲劇的な終末
護良親王は後醍醐天皇のもとで鎌倉幕府打倒の指揮を執ったが、その生涯は足利直義の郎党による暗殺で幕を閉じました。
後醍醐天皇の信頼と足利尊氏の台頭
長期にわたる鎌倉幕府の抑圧の中、足利尊氏（当時は高氏と名乗る）が朝廷にとって英雄的存在となりました。彼の功績を称え、後醍醐天皇は自らの名「尊治」から一字を与え、「尊氏」と名付けました。尊氏のカリスマに魅了された天皇と公家たちは、護良親王よりも尊氏を信じるようになります。
護良親王の挑戦とその失敗
護良親王は倒幕の功労者として征夷大将軍に就任していましたが、文武に長けている彼は尊氏が将来的に反乱を起こすと予見していました。帝のために尊氏の暗殺を試みるものの失敗し、支援を求めた部下たちも尊氏の側につき、誰も護良親王を支持しませんでした。結果、尊氏との対立によりたった2ヶ月で征夷大将軍を解任され、鎌倉に幽閉される運命にありました。
時行による鎌倉奪還と護良親王の最後
時行が初めて鎌倉を奪還した際、直義は鎌倉にいた兵士や足利家の家族、官僚たちを安全な場所へ避難させました。その時、幽閉されていた護良親王だけが残されました。
鎌倉の陥落が迫る中、直義は護良親王の処遇について尊氏に相談し、尊氏の返事は「万事よろしく」という曖昧ながらも決定的な言葉でした。
護良親王の悲劇的な最期
鎌倉の陥落が確定すると、直義は護良親王のお世話係である淵辺に暗殺の指示を出しました。淵辺は鎧武者を伴い、護良親王のもとへと向かい、彼の胸を一突きしました。護良親王は「見苦しく足掻くまい、この護良は誇り高き後醍醐帝の子だ」と潔く受け入れ、最後は尊氏によって天下が奪われる帝を心配しながら力尽きました。この悲劇的な最期は、歴史上の護良親王が尊氏との対立により幽閉され、暗殺された事実と重なります。
護良親王はなぜ殺されたのか？理由を解説
護良親王がなぜ命を落としたのか、その背後には足利尊氏の野望が存在していました。護良親王は後醍醐天皇の息子であり、政治的にも軍事的にも優れた存在でしたが、足利尊氏にとっては大きな脅威でした。
護良親王と足利尊氏の対立
護良親王は足利尊氏を深く信用しておらず、彼の真意を見抜いていました。尊氏が帝を裏切り、反乱を起こす可能性を護良親王は予見しており、暗殺を試みたことがあります。護良親王が自由を得れば、足利の野望、天下取りが遠のくため、彼を排除する必要があったのです。
鎌倉の陥落と護良親王の運命
鎌倉が陥落する際、直義は尊氏に護良親王の処遇を相談しました。尊氏は護良親王を評価しながらも、「護良親王は英傑の器」と述べ、彼が自由を得ると再び政治の表舞台に立つ可能性が高いと考えていました。そのため、護良親王が京に逃げて再び力を得ることを阻止するため、彼の殺害が命じられました。時行が護良親王を保護しようとした場合、新生鎌倉幕府の可能性が高まり、尊氏の立場はさらに脅かされることになります。最終的に護良親王は幽閉されたまま殺害され、その生涯を終えました。
