『ありふれた職業で世界最強』では、主人公ハジメと共に異世界に召喚された「勇者」天之河光輝(あまのがわ こうき)が登場します。彼は勇者として高い能力を持っているものの、性格や精神面での弱さがあり、視聴者や読者からは「裏切り者」「うざい」といった評価を受けることもあります。
なぜ、光輝は勇者でありながらもこのように批判されてしまうのでしょうか?
今回は、天之河光輝というキャラクターについて徹底解説します。
『ありふれた職業で世界最強』光輝は裏切り者なのか?
まず気になるのは、「光輝は本当に裏切り者なのか?」という点です。勇者としての立場を持つ光輝が、なぜ「裏切り者」と呼ばれるのか、その背景を紐解いていきましょう。
光輝が抱くハジメへの嫉妬心
光輝は勇者という職業を当然のように誇りに思っていましたが、「錬成師」として異世界に召喚されたハジメが強力な力を手に入れていく姿に、次第に嫉妬心を募らせていきます。
異世界に来る前から、光輝はヒロインの一人である白崎香織に好意を寄せていましたが、香織はハジメに特別な感情を抱いていました。光輝はそのことには気づいていなかったものの、香織と親しくするハジメを見て、次第にハジメに対して恋敵のような感情を抱くようになります。
異世界での成長と対立
異世界で数々の試練を乗り越えて強くなったハジメに対し、光輝はさらに嫉妬を募らせ、次第に敵意さえ抱くようになります。特に以下の3つの点が光輝の不満と敵意を増幅させました。
- ハジメが自分の目的だけを優先し、世界を救おうとしていないこと
- 魔人族のカトレアを躊躇なく倒したこと
- 香織がハジメのパーティに参加したこと
光輝の葛藤と試練での対立
王都での戦いを経て、光輝は一時的にハジメたちと行動を共にしましたが、「価値観」「覚悟」「実力」そして「クラスメートからの信頼」において自分が劣っていると痛感します。このことがさらなる嫉妬心や敵意を呼び起こし、光輝とハジメの対立はますます深まっていきました。
最終的に、氷雪洞窟の試練では、自分の影と共にハジメに攻撃を仕掛けるという形で対立が明確化します。光輝の抱える葛藤が、次第に裏切り者と見なされるような行動へと繋がっていったのです。
光輝は「裏切り者」ではない
氷雪洞窟での戦いを経て、光輝は敵側に寝返った中村恵理によって洗脳され、ハジメや雫たちと本格的に敵対することになります。
最終的には、龍太郎と雫との激闘の末に敗北し、正気を取り戻しました。
中村恵理に洗脳され雫たちと「敵対」
上記の通り、光輝は自らの意志で裏切ったわけではありません。敵対行動の原因は、ハジメへの嫉妬や敵意であり、他の仲間たちに対して悪意を抱いていたわけではありません。
光輝が敵に回ったのは、あくまで中村恵理の洗脳によるものです。洗脳されることを承諾したのは彼自身ですが、その後の行動は完全に洗脳の影響によるものでした。したがって、光輝は裏切り者とは言えないでしょう。
勘違いされやすい勇者としての性格
ただし、光輝の小さな器や嫉妬深い性格は勇者らしくない一面として誤解を生むことも多く、「裏切り者」と捉えられやすい要因となっています。
光輝が「うざい」と言われる理由は?
先ほどは光輝が「裏切り者」と呼ばれる理由について解説しましたが、今度は「うざい」と評される点について見ていきましょう。
誰よりも強い「嫉妬心」
光輝はハジメに対し強い嫉妬心を抱いていました。それは勇者として世界を救う責任感からくるもので、かつて弱かったハジメが強くなったことを素直に受け入れられなかったのです。
また、幼馴染の香織や雫に対する独占欲も影響しています。
香織と雫がハジメに好意を寄せるようになったことで、光輝の嫉妬心はさらに増し、勇者とは無関係な「一人の男としての嫉妬」が目立つようになりました。
この見苦しい嫉妬が、光輝を「うざい」と感じさせる一因となっています。
「ナルシスト」で「八方美人」な性格
光輝にはナルシストな面があり、異世界に来る前からモテる男として振る舞っていました。幼馴染やクラスメートに誰にでも親切に接する八方美人な態度も持ち合わせており、彼は無意識に「女性から好かれて当然」という思い込みがありました。
しかし、ハジメに惹かれる女性たちに対してはこの態度が通じず、彼らがハジメと共にいることに不満を抱くようになります。
今まで否定されたことのなかった光輝がハジメに対して敵対心を抱くようになったのは、これが原因の一つです。
勇者にふさわしくない「幼稚さ」
勇者として正義感や善の心を持つ光輝ですが、精神的には未熟で、幼稚な部分が多く見られます。正義心が強すぎるあまり、人の言葉を鵜呑みにしがちで、時には自分の信念に固執して状況を悪化させることもありました。
雫は光輝のこの悪癖を見抜き、何度も忠告していますが、光輝はその忠告に耳を傾けようとしませんでした。特にカトレアとの戦いでは、敵を倒し切れず逆に致命傷を負うなど、勇者としての未熟さが顕著に表れていました。
「自分が一番正しい」と思い込む性格
光輝の最大の問題は、自分の考えが「絶対に正しい」と信じている点です。彼は挫折を知らないまま完璧に物事をこなしてきたため、自分の判断に疑いを持つことがありません。
この性格は、弁護士だった祖父・完治からの影響が強く、幼少期に聞いた理想的な話をそのまま信じ続けて成長してしまったことが原因です。
こうして光輝は、何でもそつなくこなせる自信と、偏った教育が影響して、現在のような人物像が出来上がってしまいました。