劇場版鬼滅の刃 無限列車編を観た方は、予告にいなかった鬼「猗窩座(あかざ)」の登場に驚かれたことでしょう。
猗窩座が煉獄さんを殺すシーンには、ムカつきを覚えた方も多いのではないでしょうか?
「猗窩座って何者?今後も登場するの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。
そんな皆さんのために、今回は猗窩座の魅力についてご紹介します。
猗窩座の登場シーンに釘付けになり、劇場版鬼滅の刃を4回も観てしまった私が、彼の魅力を詳しくお伝えします!
周りの人に話すと驚かれますが、まだまだ観に行く予定です。
鬼滅の刃劇場版で大活躍!猗窩座(あかざ)とは?
劇場版鬼滅の刃 無限列車編に登場する猗窩座。原作コミックスでは8巻から登場し、声優は石田彰さんが担当しています。
正直なところ、猗窩座の声はもっと低いと思っていました。しかし、石田彰さんの熱演を目の当たりにし、その認識は完全に覆されました。甘くも毒を含んだ声で煉獄杏寿郎を鬼に誘う台詞や、戦闘時の楽しそうな叫び声は圧巻です。もう猗窩座の声優は石田彰さん以外考えられません!
猗窩座の登場シーン
厭夢が倒された後、横転した列車のそばにいた竈門炭治郎と煉獄杏寿郎のもとに登場。「鬼になれ」と勧誘しながら煉獄杏寿郎と交戦しますが、煉獄杏寿郎に拒まれ、辛くも彼を殺した後、夜明けを迎えて逃亡しました。その後、無限城で再び竈門炭治郎と冨岡義勇と対戦します。
猗窩座の術式展開は美しく、華やかで苛烈な技の連発に、4回観ても手に汗握ってしまいます。
猗窩座の行動原理
猗窩座の行動原理はただ一つ、「強さ」です。「弱者は嫌い、強者は好きだ」と自ら語り、もっと強くなり「至高の領域」に達するために鍛錬を欠かしません。
鬼が強くなるには人をたくさん食べることが手っ取り早いはずですが、猗窩座は人を食べる時間よりも鍛錬している時間の方が長かったと言われています。この鬼らしからぬストイックさが、猗窩座の魅力です。
鬼滅の刃劇場版での活躍 猗窩座vs煉獄(ネタバレ注意)
「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」を観たら、突然予告にいなかった鬼「猗窩座(あかざ)」が登場してびっくり!煉獄さんを殺すなんて!本当にムカつく!
猗窩座って何者?今後も出てくるの?原作コミックスを未読で「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」をご覧になった方は、こんな気持ちになられた方も多いのではないでしょうか?
そんなあなたに、猗窩座の魅力についてお伝えします!
猗窩座の登場シーンと煉獄との対決
本稿では、「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」での猗窩座の活躍を見てみましょう。ネタバレを含みますのでご注意ください。
厭夢を倒し、汽車の外で傷の止血をしていたところ、突然現れた上弦の参、猗窩座。
猗窩座は炭治郎を攻撃し、殺そうとします。手負いの炭治郎を庇った煉獄杏寿郎は、「手負いのものから狙う意味がわからない」と不快感を露わにします。それに対し、猗窩座は弱者を嫌っている旨を告げ、強いと認めた煉獄杏寿郎を「鬼にならないか」と勧誘します。
炎柱・煉獄杏寿郎がその誘いに頷くわけがなく、二人の戦いが始まります。
戦闘と価値観の対立
猗窩座は「破壊殺」という技を用いて煉獄に襲い掛かります。煉獄も炎の呼吸の技を次々と繰り出し、応戦しますが、「破壊殺 乱式」によって致命傷を受けてしまいます。
煉獄は刺し違えても猗窩座の首を取ろうと、炎の呼吸奥義玖ノ型「煉獄」を用いて斬りかかりますが、猗窩座の「破壊殺 滅式」を防ぎきれず、腹に穴を開けられてしまいます。
それでも猗窩座の頸を切ると決意した煉獄は、腹に刺さった腕を抜けないように締め付けながら、猗窩座の頸に刃を突き立てます。更に、夜が明けて差し始める陽光。日光を浴びると死んでしまう鬼である猗窩座は焦ります。
猗窩座の腕が抜けなかったのは、恐らく煉獄が「呼吸」を用いて抜けないようにしていたのだと思います。「呼吸」を極めると止血もできますし、後の描写になりますが、傷が開かないように筋肉を引き締めることもできます。
結局、焦った猗窩座は自分の腕を切り落として逃亡。炭治郎の投擲した刃と、責める言葉を浴びて苛々しながら、森の奥へ消えてゆきました。
夜明けが近づいて焦り、自らの四肢を切断して逃げる姿は様になっていました。それと同時に、ただ「生」にしがみつく鬼殺隊とは異なるしぶとさのようなものを感じました。生き汚くみっともなくも見えますが、鬼にとっては「生き残る」ことが最優先事項なんですよね。
原作での活躍(ネタバレ注意!!)
ここからは原作コミックスでの猗窩座の活躍について解説していきます。「映画・アニメ派だよ!」という方は、ネタバレ注意です。
鬼舞辻無惨からの叱責
原作8巻、時系列では「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」の直後になります。
柱・煉獄杏寿郎を殺したことを報告に訪れた猗窩座は、「青い彼岸花」を見つけられていないこと、炭治郎たちを取り逃がしたことを逆に叱責されてしまいます。
無惨から竈門炭治郎から一撃を受けたことを指摘された猗窩座は、炭治郎に突き刺された刀を砕き、復讐を誓うのでした。
「柱」を倒したのに褒めてくれない無惨は、やっぱり容赦ないですね。「褒めてあげてよぉ!」と声が出ました。下弦の鬼がほぼ皆殺しにされていることを思うと、殺されないだけマシなのかもしれないですね……
強さを求める猗窩座にとって、弱者と見くびっていた炭治郎から一撃を受けたことはショックでした。この因縁はのちの再戦まで引き継がれることになります。
上弦集結
原作12巻。上限の陸、妓夫太郎が殺されたことにより、鬼舞辻無惨は残った上弦の鬼を召喚し、警告を発します。猗窩座は他の上弦の鬼とともに無惨のもとへ馳せ参じることになります。
ここでの猗窩座は、打って変わって無口!人間相手にはあれほど饒舌に喋ってみせた猗窩座が、黙ったまま座っています。上弦の弐、童磨(どうま)に絡まれたときには、言葉ではなく拳で応戦。咎めた黒死牟(こくしぼう)に対して、「俺は必ずお前を殺す」と告げて去っていきました。
無限城にて、竈門炭治郎、冨岡義勇と再戦
原作17〜18巻。無限城にて猗窩座は竈門炭治郎、冨岡義勇と再戦。攻撃の威力と正確さで、二人を圧倒します。しかし、土壇場で「透き通る世界」に入った炭治郎によって頸を切られます。
頸を切られても絶命せず、身体を再生させて攻勢に転じる猗窩座。しかし、突然忘れたはずの過去が猗窩座に語りかけてきます。
「狛治さん、もうやめて」
明かされる哀しい過去
猗窩座はもともと、江戸時代に生まれた狛治という青年でした。子供の頃から病の父親へ薬を買うために、掏摸を繰り返し、奉行所で何度も刑罰を受けていました。
しかし、狛治が罪を重ねていることを苦にした父親は、「まっとうに生きろ」と遺言を残して自殺してしまいます。
父親が亡くなったことを苦にした狛治は、自暴自棄になって喧嘩を繰り返していたところを、素流道場の師範・慶蔵に拾われます。そこで出会ったのが、慶蔵の娘、恋雪でした。狛治は身体の弱い恋雪を看病しながら、門下生として鍛錬を積むことになります。自分を拾ってくれた慶蔵、そして恋雪は、次第に狛治にとってかけがえのない人になってゆきます。
慶蔵のもとで過ごした時間は、狛治にとってかけがえのないものでした。こんな幸せが続いてほしいと願ってしまいますが、現実はそう甘くありません。
三年後、狛治は道場を継ぎ、恋雪と結婚することが決まります。思い出の花火大会に出向き、思いを確かめ合う狛治と恋雪。しかしそれをよく思わなかったのが、隣接する剣道道場のメンバーたちでした。剣道道場のメンバーは、狛治がいない隙に井戸に毒を入れ、慶蔵と恋雪は毒殺されてしまいます。
自暴自棄になった狛治は、隣接する剣道道場を襲撃し、門下生67名を素手で撲殺してしまいます。そのまま茫然と彷徨い歩いていたところを、鬼舞辻無惨に見いだされ、鬼となりました。
鬼にされる際、狛治は「もう全てがどうでもいい」とこぼしています。大切な人を二度も奪われ、絶望のまま鬼になってしまった狛治。やったことはいけないことですが、「他にどうすればよかったのかな?」とやりきれなさを感じます。
恋雪とともに地獄へ
炭治郎の剣戟に「至高の領域」を感じた猗窩座は、負けを認め、このまま地獄へ行きたいと願います。しかしそれとは無関係に再生を続ける身体。そんな猗窩座に、かつて人間だった頃の大切な人たちが次々と話しかけてきます。
自殺した父親は「ありがとうな」と、慶蔵は「お前がどんな風になろうと死んでも見捨てない」と告げ、悲しそうな笑顔で猗窩座の頭を撫でます。
最後に恋雪を目の当たりにした猗窩座は、恋雪にすがりついて許しを乞います。「守れなくてごめん」「大事な時そばにいなくてごめん」「俺を許してくれ」。恋雪は涙しながら、「あなたがもとの狛治さんに戻ってくれてよかった」と言い、涙ながらにこう告げます。「おかえりなさい、あなた」
負けを認め、記憶を取り戻した猗窩座は自分で自分を攻撃。狛治の姿にもどり、恋雪と抱き合いながら地獄へ落ちていきました。微笑みと、炭治郎への感謝の匂いを残して。
「おかえりなさい、あなた」で号泣してしまいました。鬼になっても見捨てないと言ってくれる人がいる。共に地獄へ落ちてくれる伴侶がいる。猗窩座はきっと幸せだったのだと思います。
読めない! 猗窩座の名前の意味・由来
劇場版鬼滅の刃で名前は聞いたけど、漢字はどう書くの?原作で名前を見たけど、読めない……この難しい名前には、なにか意味があるの?そんな気持ちを抱いている方も多いのではないでしょうか。
実はこの名前には、大きな意味がありました。漢字の意味を一つ一つ分解してみていきましょう。
猗
去勢した犬。
窩
あな。いわや。むろ。くぼみ。
座
すわる。腰をおろしてすわる。席につく。=坐
つまり、「穴の側に座っている去勢された犬」という意味の名前になります。
彼の本名、「狛治」は狛犬からきています。人を守るための存在であるはずの「狛犬」でありながら、狛治は大切な人を守る事ができませんでした。皮肉として「去勢された犬」という意味の名前を与えられたのでしょう。
慶蔵と恋雪が毒殺される回のサブタイトルは、「役立たずの狛犬」です。「役立たずの狛犬」というタイトル、「去勢された犬」という意味の名前。「鬼滅の刃」という作品の残酷性が凝縮されているようですね。
ファンブックによると、猗窩座の名前は鬼舞辻無惨がつけたようです。無惨様、部下にとんでもない名前をつけますね。ドン引きしてしまいました。他の鬼を本心では嫌っている無惨の嫌がらせなのでしょうか?
人間だった頃の記憶? 猗窩座の技の名前
猗窩座は「破壊殺」と名付けられた数々の技を繰り出し、鬼殺隊士を苦しめます。この技がすべて人間だった記憶に基づいて作られていることはご存知でしょうか?
作者の吾峠呼世晴先生が、コミックスのおまけページで解説されています。
技名は花火が由来
猗窩座の技の名前は、花火の名前から取られています。かつて恋雪と見た花火大会の記憶が技名に反映されているのです。
術式展開の模様は恋雪の髪飾り
猗窩座が使う「術式展開」の模様は、恋雪がつけていた髪飾りが元になっています。彼の技には、恋雪への想いが込められています。
構えや技は素流
猗窩座の技の構えや使い方は、かつての師範である慶蔵のもとで学んだ素流に基づいています。
猗窩座は父親から「まっとうに生きろ」と言われていましたが、鬼となり罪を重ねていきました。その罪人としての刺青が、鬼の文様と混ざり合い全身に広がって見えるのです。
記憶を失っていても、無意識の中で人間だった過去に縋っていた猗窩座の姿がなんとも切ないですね。