人気作品『戦隊大失格』はタイトルから伝統的なヒーロー対怪物の物語に見えますが、怪人側の戦闘員を主人公としており、彼らの視点から物語が語られます。
主人公の「戦闘員D」は、正義の象徴「ドラゴンキーパー」を倒す目的で、人間に扮して「大戦隊」に潜入します。彼の旅は、ただの悪役の一員として終わることなく、大戦隊のメンバー、怪人幹部、そして怪人を支援する諸組織の異なる哲学に触れ、それに巻き込まれていく様子が描かれます。
シンプルなアクションドラマを超え、複雑に絡み合う登場人物の心理や激しい戦闘シーンが物語の魅力を深めています。本作では、さまざまな背景を持つキャラクターが自らの目的を追求する中での犠牲者も描かれ、彼らの死が物語に深みを加えています。
『戦隊大失格』死亡キャラ一覧
一見ギャグ漫画のような軽快なスタートを切った『戦隊大失格』ですが、物語が進むにつれて次第に重厚なドラマへと変貌を遂げ、多くのキャラクターが命を落とすこととなりました。特に「戦保怪戦」と呼ばれる、怪人保護協会、ドラゴンキーパー、怪人たちの間の戦いでは、数多くの死者が出ています。
レッド部隊
レッド部隊は、大戦隊内で怪人討伐を主任務とし、その華やかな戦果からも花形部隊と位置付けられています。
最前線での戦闘が多いため、隊員の死傷率も高いとされますが、戦闘以外の理由で命を失う隊員もおり、部隊内には未解明の暗部が存在します。
緋村仁：神具を失う大失態
レッド部隊の従一位であった緋村仁は、その能力と実績から次期レッドキーパーと目される存在でした。しかし、現レッドキーパーが怪人との戦いで重要な「神具」を失うという大失態を招き、それに対して辞任を求めた結果、その場で命を落とすという運命を辿りました。
小豆大粒：レッドキーパーに誤りお茶をかけた
従一位代理を務める小豆大粒は、上位の会合でレッドキーパーに誤ってお茶をかけてしまい、それが原因で激怒したレッドキーパーにより命を奪われました。
表向きは正義の味方であるはずのレッドキーパーの行動が、隊内での厳しい力の行使を示しています。
紅倭：怪人幹部との戦闘
正二位の紅倭は、動物園で現れた怪獣との戦いに挑み、剣道の技術を駆使して善戦しましたが、怪人幹部との戦闘では力及ばず敗れ去りました。その武勇も虚しく、彼の命は戦場で終わりを告げました。
ブルー部隊
ブルー部隊は、大戦隊内で隊員の育成と試験の管理を専門としています。
この部隊は他の部隊に比べ、比較的まともで安定した隊員が多いとされており、その職務上、戦闘よりも教育と管理の責任を重んじています。
青嶋庄吾：怪人幹部からの不意打ち
青嶋庄吾は、かつて不良少年だった過去を持ちながらも、ブルーキーパーにまで昇り詰めた実力者です。彼は戦闘員Dによる暗殺未遂に遭遇しますが、その戦闘力の高さを見せつけます。しかし、この戦いの最中に怪人幹部からの不意打ちを受け、命を落としてしまいます。
空風：怪獣の襲撃
ブルー部隊の隊員である空風は、位階が公表されていないことから非位階隊員である可能性があります。
彼は怪人保護協会が解き放った怪獣の襲撃を受け、その場で殺害されるという不幸な運命を辿りました。
イエロー部隊
イエロー部隊は、大戦隊の中でも研究開発を専門とする部隊で、特にドラゴンキーパーが使用する「神具」の開発など、知識集団としての役割を担っています。しかし、過去には倫理的な問題を伴う実験を行っていたとされ、その暗部は部隊の深い闇を形作っています。
茶畑渚：イエローキーパーの攻撃
イエロー部隊の正三位、茶畑渚は、反射能力を持つ怪人幹部と対峙しました。この戦いで、イエローキーパーは茶畑を利用して攻撃し、茶畑の位置を利用して怪人幹部を倒すことに成功しました。
しかし、この作戦で茶畑もまた命を落とし、イエローキーパーの冷酷さが浮き彫りになりました。
山吹茜：戦闘員Dを道連れに体が溶ける液体に投身
正二位の山吹茜は、戦闘力ではなくその卓越した知識で知られていました。イエローキーパーが茶畑に攻撃を仕掛けたことに動揺し、「悪いヒーローだ」と非難しましたが、自身も過去の行いに直面することになります。
彼女は最終的に、戦闘員Dを道連れにする形で自らを犠牲にし、溶解性の液体に身を投げたことで、その命を終えました。この行動は、彼女にとっての贖罪の瞬間でした。
グリーン部隊
グリーン部隊は、その活動を公にすることなく、主に怪人幹部の調査や裏での怪人討伐を専門としています。
他の部隊よりも少数精鋭で運営されており、主人公の戦闘員Dも人間になりすましてこの部隊に配属されました。
常盤奏：狂った隊員に襲われる
正二位の位階を持つ常盤奏は、怪人幹部による幻覚攻撃の結果、他の隊員と共に異世界に閉じ込められることとなりました。
次期グリーンキーパーと目されていた彼ですが、洗脳された隊員の手により命を落としてしまいます。
若葉京助：グリーン部隊との対決
元グリーン隊員で同じく幻覚に苦しんだ若葉京助は、洗脳されてしまった末に、共に閉じ込められた常盤を殺害し、怪人幹部の手下として暗躍するようになりました。
彼は幻覚の世界に隠れていましたが、最終的にグリーン部隊、戦闘員Dを含むメンバーとの対決で敗れ去りました。
ピンク部隊
ピンク部隊は、大戦隊内でケアを専門としており、治療や体調管理を行いながら、戦闘後の回復サポートも提供します。この部隊は、戦闘能力も持ち合わせており、特にピンクキーパーは戦闘時に顕著な力を発揮します。
桃江才加：暗殺の可能性
かつてのピンクキーパーであった桃江才加は、公式には自殺とされていますが、彼女が大戦隊の機密情報を外部に漏らそうとしたため、他の手による暗殺の可能性が囁かれています。
石川宗次郎：怪人幹部から訓練生をかばう
訓練生の中で最年長者であり、経験豊富な石川宗次郎は、試験中に突如乱入した怪人幹部から他の訓練生を守るために自らを犠牲にしました。彼の勇敢な行動は、未来の隊員たちにとって深い影響を与えることとなりました。
怪人保護協会
怪人保護協会は、人間と怪人が平等に共存する世界を目指し活動していますが、その手段として人類を怪人化させる計画を推進していました。この計画の実行が引き金となり、「戦保怪戦」と呼ばれる大規模な衝突が発生し、多くの命が失われることとなります。
右京楓：イエローキーパーに敗れる
怪人保護協会の理事である右京楓は、戦保怪戦で怪人化剤を用いて怪人幹部に変身し、大戦隊の隊員たちと激しい戦いを繰り広げました。彼の強大な力は一時は隊員たちを圧倒しましたが、最終的にはイエローキーパーによって討たれ、彼の野望は終焉を迎えました。
橙代大介：レッドキーパーに倒される
元イエロー部隊の正二位隊員であり、後に怪人保護協会の理事となった橙代大介は、部隊で得た技術を持ち逃げし、それを怪人保護協会に提供しました。彼はイエロー部隊の「錫切夢子」に重傷を負わされるも、怪人化剤を用いて一時的に力を得ます。しかし、この新たな力も虚しく、レッドキーパーによって容易く討ち取られてしまいました。
作品・まとめ考察
『戦隊大失格は、単なる勧善懲悪の枠を超えた、倫理的かつ社会的な問題への深い洞察にあると考えられます。物語の各キャラクターや部隊が直面する葛藤や犠牲は、正義とは何か、そしてその代償が何であるかという問いに直結しています。特に、怪人保護協会のような組織が推進する、人類を怪人化させる計画は、平等と共存の理想に向かって不正な手段を用いることの倫理的ジレンマを浮き彫りにしています。
物語における戦闘員Dのようなキャラクターが直面するアイデンティティの問題や、ピンク部隊やイエロー部隊の隊員たちが体験する内部の対立と犠牲は、それぞれが持つ信念の強さと、それが時にいかに他者を傷つけ得るかを示唆しています。また、グリーン部隊やレッド部隊の記述からは、目的を達成するための手段として選ばれる行動が、必ずしも道徳的であるとは限らない現実を反映しており、善悪の境界が曖昧な状況での個々の決断が重要であることを教えています。
このように『戦隊大失格』は、エンターテイメントの表面下に深いメッセージを秘めており、読者に対して正義の本質について深く考える機会を提供しています。物語は、ただのアクションに留まらず、各キャラクターの行動が引き起こす連鎖反応とそれに伴う道徳的な問題を掘り下げることで、現実世界における類似のジレンマについても考察を促しています。
