『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨は、すべての鬼の始祖とされ、他の存在を鬼に変える唯一無二の能力を持っています。彼は数多くの人間を鬼に変えてきたが、中でも特筆すべきは「上弦の鬼」に選ばれるような特別な個体を見つけ出し、鬼に変えることです。
鬼舞辻無惨が鬼にしたいと考えた人物に対しては、巧妙で誘惑的な言葉を用いて接近します。これらは「悪魔の囁き」とも称されるほど、その誘惑は強力で、人々を鬼へと誘い込むのです。十二鬼月を形成するような優れた鬼をスカウトする際には、彼らの欲望や弱みを巧みに利用して彼らを鬼へと変えていきました。
鬼舞辻無惨のスカウト：上弦の鬼が鬼になった理由
上弦の壱：黒死牟の変貌
黒死牟、本名継国巌勝は、剣士として類稀なる才能を持っていましたが、天才的な弟・継国縁壱にはいつも及ばず、自身の痣が命を縮めると知ると絶望します。
「痣は寿命の前借りに過ぎない、全盛期はすぐ終わる。私には未来がない」との思いから鬼舞辻無惨の誘いに乗り、鬼として長い時を生きることを選びました。
彼の生涯は、弟に勝ちたいという一心で動かされたものでした。
上弦の参：猗窩座の悲劇と鬼への転生
猗窩座、元の名は狛治で、悲劇的な背景を持ちます。彼は最愛の婚約者と恩師が毒殺された復讐のために、犯人とその関係者を手にかけた後、無惨に遭遇します。
この時、自暴自棄になりながらも「このまま死んでも構わない」と心に決めていましたが、無惨の血に順応し、新たな鬼としての人生を歩むことになります。
上弦の弐：童磨の鬼化
童磨の変貌についての記録は具体的なセリフは描かれていませんが、彼の人間性と無惨の見立てが重要な役割を果たしています。
童磨は特に武術に優れていたわけでもなく、長く生きたいという願望もありませんでした。しかし、人の苦しみに無感動な性格が、無惨によって「鬼に向いている」と評価され、上弦の鬼へと抜擢されました。
上弦の肆・半天狗の誘い
半天狗は自己責任と後悔に苛まれる状況で無惨から「明日打ち首とは可哀想に。私が助けてやろう」という甘言を受け、鬼としての道を選びました。このような状況下では、多くの者が無惨の誘いを断ることができませんでした。
下弦の伍・累の鬼化
累は若いながらも「強い体がほしい」「もっと長く生きたい」と望む心を持っていたため、無惨は彼に鬼への誘いをかけます。累の場合、彼がまだ幼いため全ての状況を理解していなかった可能性が高く、無惨の誘いは特に卑劣なものでした。
珠世の悲劇
珠世も「もっと生きていたい」という願望から鬼にされましたが、鬼となった後に人間を喰う必要があるとは告げられていませんでした。家族を喰ってしまうという悲劇を経験し、その後ずっと無惨を恨み続けています。珠世は黒死牟や縁壱と同じ時代から存在し、400年以上生きていたことになります。
愈史郎と珠世の特異な状況
鬼舞辻無惨が鬼を増やす唯一の存在とされていますが、愈史郎は珠世によって鬼にされた唯一の例外です。これは全て珠世の意志に基づいたもので、彼女の選択が後に無惨を倒すための重要な要素となりました。
鬼舞辻無惨のスカウト戦略とその基準
鬼舞辻無惨の鬼化過程と生存率
鬼舞辻無惨は、自らの血（細胞）を与えることによって人間を鬼に変える能力を持っています。しかし、この変化に適応できない者は、竈門炭治郎の家族のように、変化後すぐに死亡することも少なくありません。禰豆子のように鬼になって生き延びる例は稀です。
鬼舞辻無惨の選定基準と目的
鬼舞辻無惨が鬼にする候補を選ぶ基準は、その人間が太陽に強い細胞を持っているかどうかに注目しています。これまでの鬼とは異なる体質や血統を持つ人間を特に対象とし、太陽光に対する耐性を有するかを試すために無差別に血を与えることがあります。しかし、これはスカウトというよりも、むしろ強制的な試みと言えるでしょう。
鬼舞辻無惨の強力な鬼への期待
鬼舞辻無惨は、鬼になる者が強力な鬼へと成長する可能性を重視しています。特に、元々人間時代から強かった者や、黒死牟や猗窩座のような戦闘能力が高かった者、または童磨や魘夢のように残忍な性格を持つ者を好んで選んでいます。これらの特性が、鬼としての強さに直結すると見なされているためです。
無惨による強制的な鬼化の事例
竈門禰豆子の鬼化
『鬼滅の刃』において、竈門禰豆子は鬼舞辻無惨によって無理やり鬼にされた典型的な事例です。無惨は彼女に太陽克服の可能性を見出し、その能力を得るために彼女を鬼に変えました。禰豆子は鬼になった後も人の血肉を喰らうことなく、独自の道を歩んでいきます。
浅草の男性の鬼化
浅草で炭治郎と遭遇した無惨は、自分の正体が露見するのを防ぐために近くを通りかかった男性を鬼に変えました。この行為は無惨にとっては単なる現場からの注意逸らしであり、その男性は後に珠世による薬の投与で自我を取り戻すことに成功します。
竈門炭治郎の一時的鬼化
無惨は太陽克服の最終手段として竈門炭治郎を鬼に変えようと試みました。炭治郎が無惨の細胞に順応することで、太陽に耐える能力を得ることに成功しますが、これは彼の意志に反して行われたものです。最終的にはカナヲが投与した「人間に戻す薬」によって炭治郎は人間に戻りました。
上弦の鬼によるスカウト成功例
上弦の陸・妓夫太郎のスカウト
上弦の陸であった童磨は、妓夫太郎をスカウトしました。この時、妓夫太郎は焼け跡から生き残った妹の梅を抱えていました。童磨は二人を鬼にする意向で「お前ら」と声をかけ、その後彼らは「上弦の陸・妓夫太郎＆堕姫」として知られるようになり、100年以上もの間、上弦の鬼として存在しました。
上弦の壱・黒死牟のスカウト：獪岳
黒死牟によって鬼にされた獪岳は、「雷の呼吸」の使い手であり、我妻善逸の兄弟子でした。黒死牟との遭遇時には命を乞うシーンがあり、黒死牟は自身の過去を重ね見て獪岳に感情移入したのかもしれません。獪岳は鬼となり、やがて「上弦の陸」としての地位を妓夫太郎＆堕姫兄妹の後を継ぎました。
獪岳が鬼に転じたことにより、彼の師であった老師匠は自身の弟子から鬼が生まれた責任を感じ、割腹自殺を選びます。この悲劇は我妻善逸にとって非常に重く、彼自身が獪岳を倒すことでその責任を果たそうと決意しました。
上弦の鬼によるスカウト失敗事例
上弦の参・猗窩座が誘った炎柱・煉獄杏寿郎
『鬼滅の刃』における最も記憶に残るスカウトの失敗例は、上弦の参・猗窩座が炎柱・煉獄杏寿郎をスカウトした場面です。猗窩座は優れた武道家ではありますが、他人の心に寄り添うことが苦手で、煉獄に対してもそのスカウトは即座に拒否されました。
上弦の参・猗窩座が誘った水柱・冨岡義勇
猗窩座は再び柱クラスの剣士をスカウトしようと試みますが、水柱・冨岡義勇に対するアプローチも失敗に終わります。冨岡義勇は猗窩座の誘いに対し一切の反応を示さず、その誘いを完全に無視しました。
上弦の陸・妓夫太郎が誘った竈門炭治郎
上弦の陸・妓夫太郎は、竈門炭治郎をスカウトしましたが、この誘いも炭治郎によって完全に無視されました。妓夫太郎は、自身の妹・堕姫と共に戦いながら炭治郎の妹を守る能力を馬鹿にし、鬼になれば妹を守る力を得られると誘いますが、炭治郎はこの提案を拒否しました。
上弦の壱・黒死牟が誘った霞柱・時透無一郎
最後に、上弦の壱・黒死牟が霞柱・時透無一郎を鬼にしようと試みましたが、無一郎からは何の返答も得られませんでした。黒死牟は無一郎の剣技と精神的な強さに感銘を受け、鬼にしようと考えましたが、最終的には無一郎を戦いで倒すことになりました。
