日車寛見は「死滅回遊編」で初めて登場した覚醒タイプの泳者（プレイヤー）です。弁護士としてのキャリアを持ちながら呪術師としても活動しており、その異色の経歴が注目されています。弁護士として成功を収めるほどの才能を持ち、その結果として呪術師としての成長も非常に速いのが特徴です。
作中では「五条悟に匹敵するほどの才能を持つ原石」と評されています。この記事では、日車の強さやその天才的な理由について詳しく解説していきます。
【呪術廻戦】日車寛見のプロフィール
日車寛見は「死滅回遊編」で初めて登場した覚醒タイプの泳者（プレイヤー）で、東京第1結界に留まっていた術師です。彼は羂索によって脳の形を調整され、いわゆる覚醒タイプの泳者となりました。日車の初登場は原作17巻143話で、本格的な活躍は18巻159話から始まります。
彼の外見は、オールバックの髪型に黒色のスーツを着た弁護士そのものです。弁護士としての強い正義感を持っていましたが、その理想が一度は絶望に打ちひしがれる原因となりました。
基本情報
日車の年齢は36歳で、呪術師になる前は岩手弁護士会に所属していました。T大法学部受験や旧司法試験など、数々の難関試験をストレートで合格してきた優秀な人物であり、その才能は「天才」と呼ばれるにふさわしいものでした。
しかし、日車にとってそれらの試験は「必要な知識を入力し出力する簡単な作業」に過ぎなかったようです。むしろ、日車にとって最も適性があったのは呪術師でした。その証拠に、術式開花からわずか12日で1級術師レベルの戦闘力を身につけています。
その才能は「五条悟に匹敵する」とまで称され、死滅回遊編では虎杖と出会う前に20人以上の泳者を返り討ちにしました。結果、鹿紫雲一を含む2人だけが100点超えの泳者として君臨しています。
日車寛見の過去
日車は司法修習生時代にその優秀さから裁判官になることを勧められましたが、頼れる者もいない弱者から目を背けたくないという想いから、弁護士を志しました。
弁護士としては無理な刑事弁護を担当することが多かったものの、検察側に比べ弁護側が圧倒的に不利なこともあり、救えない依頼人も多くいました。救えなかった依頼人から逆恨みされることもありましたが、自分だけは目を背けず正義を貫き続けました。
しかし、死滅回遊直前に担当した裁判で、日車は絶望に叩き落とされます。裁判所と検察側が保身のために有罪ありきの裁判を行い、被疑者に無期懲役を言い渡したのです。
日車寛見の性格や抱えている想い
日車は単に弱者救済を掲げているわけではありませんが、昔から自分が違和感を感じたことには放っておけない性分です。そのため、頼る者もいない被疑者から目を背けず、無理な刑事弁護も行ってきました。
人の弱さと向き合い続ける中で、日車の心には怒りと絶望が少しずつ積もっていきました。そして、死滅回遊直前に担当した裁判で、日車の心は限界に達します。
弱者と法の無力さに絶望し、死滅回遊に可能性を見出した日車は、真偽に関係なくルールを犯したものが物理法則のように罰せられるこの世界に希望を見出し、呪術師として戦いに参加する決意をしました。
日車寛見の術式や強さ
日車寛見の術式の特徴
日車寛見の術式は、領域がデフォルトで備わっている点が特徴です。このため、彼の基本的な戦闘スタイルは、呪力操作と領域の活用に依存しています。術式の性能や単純な戦闘力においては、高専の1級術師と遜色ない実力を持っています。
しかし、戦闘経験が比較的浅いため、判断力や読み合いでは他の術師に若干遅れを取っています。
使用武器：ガベル（木槌）
日車が領域外で使用する主な武器は、裁判官の木槌に似た「ガベル」です。この武器は裁判モチーフの術式にふさわしい見た目を持ち、大きさを調整可能です。ガベルを巨大化させて敵を叩き潰すこともできます。また、ガベルは自在に出現させることができるため、右手と左手で素早く持ち替えることも可能です。作中では、投擲したガベルを瞬時に再出現させる場面も見られます。
日車は近接武器のみを使用するため、敵に接近する必要がありますが、ガベルの性質を活かしてその弱点をカバーしています。なお、ガベル自体は術式の一部であり、打ち鳴らすことで領域を展開できます。
領域展開「誅伏賜死（ちゅうぶくしし）」
日車の領域「誅伏賜死」は、展開すると裁判所のような風景が現れ、式神「ジャッジマン」を召喚します。この領域では、術師同士で簡易的な裁判が行われ、引き込まれた相手が被疑者となり、日車が検事として裁判を行います。
領域内での手順は以下の通りです：
- 罪状が被疑者の人生からランダムに選ばれ、両者に共有される。
- 被疑者は沈黙、否認、自白のいずれかを選択する。
- 日車は提出された証拠を基に被疑者を追い詰める。
- ジャッジマンが2人のやり取りと法律を基に審判を下す。
- 罪の重さに応じて被疑者にペナルティが課せられる。
「ジャッジマン」は中立の立場で審議を行う裁判官であり、日車の味方ではありません。したがって、被疑者が無罪を勝ち取る可能性もありますが、現役弁護士の日車と対峙するため、法律に詳しくないと不利になるでしょう。
領域内では暴力行為が禁止されており、必殺効果も付与されていません。そのため、領域に引き込むだけでは勝負が決まらないという特徴があります。
没収（コンフィスケイション）
被疑者が「有罪」とされた場合、ペナルティとして「没収（コンフィスケイション）」が適用されます。この効果により、被疑者の術式が一時的に使用不可になります。術式だけでなく、術式を持たない者には呪力操作の不可が課せられるため、虎杖が有罪になった際には素の力だけで日車と戦うこととなりました。
複数の術式を持つ相手には、どの術式が没収されるかは日車にも分からないことがあります。また、被疑者が呪具を持っていた場合、術式ではなく呪具が没収されるため、宿儺戦では呪具・神武解が奪われました。
死刑（デス・ペナルティ）
日車の領域における最も重い判決が「死刑」です。このペナルティが下されると、ガベルが処刑人の剣に変化し、斬られた場所が手の先であっても確実に致命傷を与えるようになります。
死刑と共に没収も適用されるため、被疑者は術式を使用できません。そのため、必殺効果を持つ処刑人の剣で戦う必要があります。作中では、虎杖と宿儺が死刑判決を受け、処刑人の剣と戦うシーンが描かれています。
ただし、領域内で提示される罪状は完全にランダムであり、軽い罪を多数犯している場合は、死刑を宣告される可能性が低くなります。
再審
日車の領域には一見理不尽なペナルティが多いですが、被疑者には「再審」が認められています。被疑者が「やり直し」を要求すれば、最大2回まで裁判をやり直すことが可能です。これは現実の控訴や上告に相当します。
再審で無罪になりやすい罪状を引ければ、被疑者は術式を取り戻すことができます。実際、虎杖は2審目で無罪になる可能性のある罪状を引きました。ただし、日車側にも再審請求の権利があり、既に決定された罪でも再審が可能です。また、裁判の状況は引き継がれるため、時を置いて3審目を行うこともできます。3審目まで行った場合、裁判の進行状況がリセットされるかどうかは不明です。
反転術式を戦いの中で習得
日車は反転術式を使えない状態で宿儺との最終決戦に参戦しましたが、戦いの中で反転術式を習得しました。術師となってわずか2ヶ月で反転術式を習得したのは極めて稀です。五条悟ですら習得に10年以上かかったことを考えると、日車の能力は驚異的です。
さらに、日車の反転術式は切り飛ばされた腕を生やすほどの出力を誇っており、通常の反転術式では難しいとされる欠損部位の再生を可能にしています。これにより、近接武器しか攻撃手段がないという制約も問題にはなりません。
五条悟と並ぶほどの才能の原石
日車の呪術師としての才能は群を抜いており、「五条と並ぶほどの才能の原石」と称されています。術師としてわずか12日で100点を獲得する泳者は他にいません。反転術式を戦いの中で習得し、五条と宿儺の戦いを見ただけで領域展延を再現したこともあります。
宿儺は見ただけで技を再現する能力を持っていますが、日車も同等の学習力を持っているとされています。日車の才能と成長の速さは、作中でもトップクラスと評価されています。
日車寛見の登場シーンは何巻何話？活躍シーンも
登場と覚醒
日車寛見の登場は、死滅回遊編から始まります。裁判中に強い絶望を感じたことが契機となり、日車は呪術師として覚醒しました。その後、死滅回遊に参加し、20人以上の泳者を打ち倒して100点ホルダーとなりますが、虎杖との戦いで敗北しました。
虎杖との戦闘後、しばらく出番がありませんでしたが、日車寛見は25巻222話で再登場し、高専側の術師として宿儺との決戦に挑むことになりました。
術式の覚醒
日車は羂索によって脳の構造が変えられ、術式を行使できるようになった覚醒タイプの泳者です。有罪が前提の裁判で、人間の弱さと法の無力さに絶望し、その瞬間に術式が覚醒しました。その後、裁判官と検事を殺害し、東京へと向かいました。
東京に到着後は、東京第1結界に参加し、20人以上の術師を倒して鹿紫雲と並ぶ100点持ちの泳者となります。術師となってからわずか12日で、レジィ・スターからも「ズ抜けた強者」と評価されていました。
死滅回遊に参加後、日車はスーツで風呂に入るなど奇行が見られるようになります。本人曰く、「やってはいけないと思い込んでいた」ことに挑戦するようになったとのことです。その後、虎杖が100点を使用してルール追加を提案し、日車の前に現れます。
虎杖悠仁との戦闘
死滅回遊を終わらせたい虎杖と、見守りたい日車の間で交渉が決裂し、戦闘が開始されました。日車は領域を展開し、圧倒的な法知識を活かして虎杖にペナルティを課します。その結果、虎杖の呪力操作が不可能となりました。
しかし、虎杖が再審を行うことを見抜かれ、第2審に持ち込まれます。問われた罪状は渋谷での大虐殺で、実際には宿儺によるもので虎杖には罪はありませんが、虎杖は自首を選びました。自分の弱さとして宿儺の悪事も背負い込む虎杖の姿に、日車の心は揺らぎます。
日車は自らの原点を思い出し、術式を解除して虎杖の拳を受け入れました。その後、虎杖の要求通りにルールを追加し、日車は虎杖の前から姿を消しました。
宿儺戦での活躍
虎杖との戦いの後、日車はしばらく姿を見せませんでしたが、人外魔境新宿決戦にて再登場します。高専側の術師として宿儺との決戦に参加することになり、「自分は役割を全うして死ぬべき」という考えからその決断に至ったようです。
日車は五条と鹿紫雲が敗北した後、虎杖、日下部、猪野、脹相と共に戦場へ向かいます。領域展開を用いて宿儺から術式を没収しようと試み、虎杖との裁判をやり直すことで無事に死刑判決を勝ち取ります。しかし、没収は宿儺が持っていた呪具・神武解に適用されました。それでも、処刑人の剣の発動には成功し、宿儺を貫くために領域展延や反転術式を土壇場で習得し、激闘を繰り広げました。
日車寛見は死亡したのか？
日車の死亡について
日車寛見は五条と並ぶほどの才能を持っていましたが、宿儺との戦いで命を落としました。この戦いで、五条や鹿紫雲に続き、日車も犠牲者となります。あまりにもあっけない結末だったため、死亡が信じられない方もいるかもしれません。
しかし、日車の死亡はほぼ確実と言えるでしょう。以下に、日車の死亡シーンや復活の可能性について詳しく解説します。日車の死亡に関して詳しく知りたい方は、ぜひご参照ください。
第247話での死亡シーン
日車は原作247話で死亡します。戦いの中で、日車は宿儺と同等の術式を駆使し、処刑人の剣を宿儺に突き立てようとしました。一方、宿儺は日車の才能に興味を持ち、容赦ない斬撃で応戦します。
宿儺の斬撃を受け、日車は右手と左手を失いましたが、土壇場で反転術式を習得し、再生した腕で処刑人の剣を宿儺に突き立てました。しかし、宿儺は術式効果が発動する前に腕を切断しました。
その後、宿儺に体を切り刻まれ、日車は瀕死の重傷を負います。それでも力を振り絞り、虎杖に処刑人の剣を託しました。虎杖は剣を宿儺に突き立てようとしますが、剣が宿儺の命を奪う直前に日車は死亡し、処刑人の剣は解除されました。
死に対する考え
日車が命を落とした背景には、彼自身が死を望んでいたことが大きく関わっていると考えられます。術師として覚醒後、日車は罪なき検事と裁判官を殺害しましたが、死滅回遊に参加した当初は罪の意識をそれほど感じていなかったようです。
しかし、虎杖との出会いを通じて、自らの罪と向き合うこととなりました。その結果、「自分は役割を全うして死ぬべき」と考えるようになり、反転術式が使えない状態で宿儺との戦いに挑みました。
日車は「罰せられる」ことを望んでおり、最終的に自分に科したペナルティが「死」だったのです。日車は宿儺を殺すことはできませんでしたが、彼にとって死は救済だったと考えられます。
日車の復活の可能性
結論として、日車が復活する可能性はほぼありません。日車は五条と同レベルの反転術式を使用できる能力を持っていましたが、治療できないレベルの傷を負ったため、復活の可能性は非常に低いと考えられます。
また、日車の遺体は高専に回収されましたが、家入による治療も期待できません。反転術式で他人を治療する際には、治癒効率が低下するためです。日車と同様に遺体が回収された五条も復活していません。
さらに、日車は宿儺から呪具を奪い、死の直前に虎杖へと想いを託しています。そのため、キャラクターとしても既に役割を終えたと考えられます。以上のことから、日車が復活する可能性は極めて低いと考えられます。
まとめ考察
日車寛見のキャラクターに関する描写やその最期の描写から、作者が読者に伝えたいことがいくつか見えてきます。
まず、日車の物語を通して伝えたいメッセージの一つは「罪と贖罪」のテーマです。日車は術師としての覚醒後、罪なき者を手にかけてしまいましたが、その後の戦いを通じて、自らの行いと向き合います。特に虎杖とのやり取りでは、自らの罪を認め、役割を全うすることで贖罪しようとする姿が描かれています。これにより、作者は「罪を背負った者がどのように自らの贖罪を果たすのか」という深いテーマを探求していることがわかります。
次に、日車の死に関しては「儚さと英雄主義」の観点が浮かび上がります。日車は宿儺との戦いにおいて、宿儺と同等の術式を駆使しながらも、あっけない最期を迎えます。この描写は、英雄的な人物がどれほど優れた能力を持っていても、運命には逆らえないという儚さを強調しているように見えます。日車の死は、優れた力を持つ者がいかに脆弱であるか、そして英雄的な行為が必ずしも生存に結びつかないという現実を描き出しています。
また、日車の死に対する姿勢からは「役割と使命感」のテーマも読み取れます。日車は「自分は役割を全うして死ぬべき」と考え、宿儺との戦いに挑みました。このことから、作者は「自身の使命感に従うことの重要性」と、それによって得られる自己満足や救済の意義を描こうとしていると感じられます。日車が自らの使命を全うし、死を迎えることで、彼自身の価値や意味を見いだそうとする姿勢は、読者に深い印象を与えます。
最後に、日車のキャラクターを通して「存在の意味と終焉」という観点も浮かび上がります。日車は宿儺との戦いで死ぬことで、自らの存在に終止符を打ちましたが、その死は単なる終わりではなく、新たな可能性や意義を孕んでいると考えられます。日車が宿儺に託した想いや、彼の最期の瞬間には、彼の存在がどのように物語に影響を与えたのかを示す重要なメッセージが込められているのです。
このように、日車寛見の物語は単なるキャラクターの死にとどまらず、深いテーマやメッセージを通して、読者に多くのことを考えさせる作品となっていると言えるでしょう。
