『鬼滅の刃』は、その独特な世界観とキャラクターで国内外に多くのファンを魅了しています。本作に登場する鬼たちは、従来の日本の妖怪とは異なり、西洋の吸血鬼に近い属性を持っているとも言われています。
この記事では、『鬼滅の刃』と吸血鬼との間に見られる共通点と違い、そして設定のモデルとして吸血鬼がどのように影響を与えているかを考察します。
『鬼滅の刃』鬼と吸血鬼の共通点・類似性
『鬼滅の刃』に登場する鬼は、従来の妖怪の鬼よりも、吸血鬼に近い特性を持っています。
これは連載デビュー作『鬼滅の刃』の前身となる『過狩り狩り』が吸血鬼退治をテーマにしていることからも理解されます。
不死性と太陽の光
『鬼滅の刃』の鬼と吸血鬼の最も顕著な共通点は、その不死性にあります。
どちらも普通の方法では倒すことが難しく、特定の方法でのみ滅ぼすことが可能です。また、太陽の光が弱点であるという点も共通しています。
鬼も吸血鬼も日光に弱く、これが彼らの活動を制限する大きな要因になっています。
特定の植物に弱い
鬼滅の刃の鬼は藤の花、吸血鬼はニンニクに弱いとされ、特定の自然物によって撃退される点も類似しています。
増殖方法の類似点
人喰い鬼と吸血鬼の増殖方法には類似点がありますが、細部に違いが見られます。
吸血鬼は犠牲者の血を吸い、その犠牲者が吸血鬼に変わることが一般的なルールですが、『鬼滅の刃』では鬼舞辻無惨が自らの血を他者に与えることで人喰い鬼を増やします。
この行為は、吸血鬼が自分の血を飲ませることで犠牲者を同族に変えるという古典的な吸血鬼の物語と根底でつながっています。
『鬼滅の刃』鬼と吸血鬼の違い・相違点
起源と増殖方法
先述しましたが、増殖方法は確かににていますが、一方で、大きな違いがあります。吸血鬼の伝承は、被害者を噛むことで新たな吸血鬼を生み出すというものが一般的です。
しかし、『鬼滅の刃』の鬼は、鬼舞辻無惨という一人の鬼から血を分け与えられることによって生まれます。これは、吸血鬼伝説における「血を与える」ことと対比できるが、直接的な「血を吸う」行為から生じるものではありません。
特定のシンボルで弱る
吸血鬼が十字架を恐れるのに対し、鬼滅の刃の鬼たちは特定の宗教的シンボルに反応することはありません。
始祖である鬼舞辻無惨が神仏の存在を否定する発言をしていることから、スピリチュアルな要素に対する反応は異なります。
強いて言えば、鬼滅の刃では炭治郎の「耳飾り」がシンボルの一つとなっています。
耳飾りそのもので鬼たちは弱ることはないですが、太陽・日光がモチーフになっている点においては鬼たちが恐れるシンボルになっているのかもしれません。
始祖を倒せば全ての鬼が死ぬ
鬼滅の刃では、鬼の始祖である鬼舞辻無惨さえ倒せば、他の全ての鬼が死滅します。
しかし吸血鬼にはこういった連動性は見られません。
吸血鬼に吸血・噛まれれば本人も吸血鬼になり、また増殖させる能力があるため、根絶やしにするしか全滅させる方法がない、といった部分は、鬼滅の刃の鬼と吸血鬼の大きな違いといえます。
設定モデルに流行病が使われている
『鬼滅の刃』の鬼の設定に吸血鬼の影響が見られるのは、作者が西洋の怪物伝説に触れ、それを独自の文化的背景に合わせてアレンジした結果と考えられます。
また、世界的に大流行し人類の危機に直面するような病がモチーフ・モデルになっていると見られる部分があります。
たとえば、堕姫は人間の時の名前が「梅」で明らかに梅毒が由来で、当時梅毒が流行した遊郭・花魁などが舞台になりモチーフになったりしています。
吸血鬼の「伝染」と流行病の伝染は確かに類似しているものの、違いがあります。